実体顕微鏡(双眼実体顕微鏡・三眼実体顕微鏡)
実体顕微鏡は数倍~40倍ぐらいの倍率で観察するための顕微鏡です。高倍率で観察する生物顕微鏡用の標本作りのように薄切切片を準備する必要がなく、実体顕微鏡なら見たいものをそのままの状態で観察することができるので、非常に手軽にミクロ・ワールドが楽しめます。
低倍率ですが、実体顕微鏡下のミクロの世界は驚きと興奮に満ちています。実体顕微鏡は立体視ができるため、検体の微細な凹凸もはっきりと観察することができます。
昆虫や草花などの動物・植物の観察や、古銭や宝飾品などの観察や研究、機械工学、精密機械や電子産業分野における検品や組み立て作業、歯科技工や手工芸、はんだ付け作業などの精密作業用など、非常に多くの分野で使用されています。
レイマーでは、肉眼での観察のみ可能な双眼タイプの実体顕微鏡と、撮影機器の取り付けが可能な三眼タイプの実体顕微鏡をご用意しています。
ズーム型実体顕微鏡 LW-800シリーズ(LW-820 / 820T / 830T)

税込¥93,500~、送料当社負担
- 総合倍率6.7~45倍
- ズーム変倍
- 選べる鏡筒
- 選べるスタンド
像のクオリティの高い、ズーム型の実体顕微鏡。
総合倍率は6.7~45倍。ズームダイヤルを回すだけで、見たい部分をクローズアップできます。
像の平坦性が高く、高コントラスト。視野辺縁部の像の歪みが小さく、色再現性も優れています。
以下の3モデルをラインナップ。
- 双眼実体顕微鏡モデルLW-820
- 観察しながら撮影可能な光路分配式の三眼実体顕微鏡モデルLW-820T
- コントラストと色再現性がより高く、より鮮明な観察・撮影が可能な上位モデルのLW-830T(光路切換式三眼実体顕微鏡)
ハンダ付け作業、顕微鏡手術の練習、時計修理、半導体などの品質管理、バイオサイエンスなど、多様な分野でご利用頂けます。
TW-180 双眼実体顕微鏡

税込¥44,000、送料当社負担
- 総合倍率8倍
- 長作業距離145mm
長い作業距離(145mm)、総合倍率8倍の作業用双眼実体顕微鏡です。360゜回転可能な鏡筒とフレキシブルアームにより、作業姿勢に適した位置付けが可能です。
工業分野の組み立てや検品、歯科技工、宝飾品の作製等の手工芸、生物学や地質学や考古学の研究に適しています。
SW-301L / SW-302L 双眼実体顕微鏡

税込¥41,800、送料当社負担
- 総合倍率10/20倍・20/40倍
- 倍率切り替え式
- 落射・透過照明
- LED照明
- 2ウェイ電源方式
高輝度LED照明を搭載してリニューアル!
高輝度LEDの落射照明+透過照明がついた双眼実体顕微鏡。業務用途に耐える光学性能。電子機器をはじめとして多くの生産現場からの引き合いの多い人気機種です。
対物レンズ部を回転させることにより、総合倍率を簡単に切り換えることができます。
(SW-301Lは 10倍/20倍切換、SW-302Lは 20倍/40倍切換)
ACアダプタと蓄電池の2ウェイ電源方式。コンセントのない環境においても長時間使用できます。
SW-401L 双眼実体顕微鏡

税込¥59,400、送料当社負担
- 総合倍率10倍
- LED照明
- 長作業距離165mm
165mmの長い作業距離を持つ双眼実体顕微鏡です。作業距離とは顕微鏡の下面(対物レンズの先端)~検体間の距離です。
総合倍率10倍。落射方向や角度を自由に調整できるフレキシブルアームの先端にLED照明が備わっています。顕微鏡と検体の間に広い作業スペースを確保できるので、顕微鏡下でピンセットやナイフなどの工具を用いた作業が容易に行えます。精密機器工業や歯科技工などの分野に最適。
TW-531 双眼実体顕微鏡

税込¥59,400~、送料当社負担
- 総合倍率10倍
- LED照明
- 長作業距離230mm
230mmという驚異の作業距離を持つ双眼実体顕微鏡。作業距離とは顕微鏡の下面(対物レンズの先端)~検体間の距離です。総合倍率10倍。作業スペースが充分あるので、顕微鏡下での作業が容易に行えます。
はんだごてやドライバー、ナイフ、ピンセットなどの工具を用いた作業においても、顕微鏡下での工具の取り回しが楽に行えます。精密機械工業や歯科技工などの分野に最適。
SUP-910/920C/920E マイクロサージャリー練習用顕微鏡

税込¥165,550~、送料当社負担
血管吻合をはじめとした顕微鏡下での縫合手技(マイクロサージャリー)を練習するための顕微鏡です。
無段階ズーム変倍式(総合倍率2.6~18倍)、作業距離217mmの手術用顕微鏡に近似した使用感で、本番に近い作業姿勢での練習が可能です。
練習に用いる血管モデル・臓器等が設置しやすい、フラットステージ仕様の大型スタンド。
表面が滑沢な血管モデル・臓器への照明光の映り込みを抑える単光源LED仕様。一般的なリングライトに比べ、照明光が観察・作業の妨げになりません。
接眼レンズ観察のみの双眼実体顕微鏡モデル(SUP-910)のほか、カメラ付き三眼実体顕微鏡モデルもご用意(SUP-920C・SUP-920E)。顕微鏡下での作業をリアルタイムに液晶モニタに表示できます。手技の確認や見直しをモニタを通じて行えるため、教育用途に適しています。
※本製品は医療機器ではありません。
SLD-485/487 はんだ付け用実体顕微鏡

税込¥63,250~、送料当社負担
長い作業距離と広いワークスペースの、はんだ付け用顕微鏡です。
顕微鏡下での、はんだごてやピンセットといった工具を用いた作業が容易にできます。
アーム式スタンドによる広いワークスペースにより、大型電子基板への実装に対応。大きな導電性マットの設置も可能です。
はんだの煙やフラックスの飛散から、顕微鏡の対物レンズを守るレンズプロテクタ付き。容易に交換・清掃できる着脱可能な仕様です。
はんだ付けに多用される総合倍率10倍固定、自由な照射方向に調節できるフレキシブルアーム構造のLED照明を備えたSLD-485、総合倍率3.35倍~22.25倍の無段階ズーム式実体顕微鏡を採用し、低倍率でのはんだ付け・高倍率での濡れの確認が1台で可能なSLD-487の2機種をラインナップしています。
CSP-964B/964F/975BC 眼科手術練習用顕微鏡

税込¥215,600~、送料当社負担
白内障・硝子体手術用顕微鏡の仕様を再現した、眼科手術練習用の顕微鏡です。
217mmの長作業距離で、フェイコマシンのハンドピースやメス、剪刀といった眼科手術器具を用いた練習に最適です。
ワークスペースが非常に広く、眼科手術用のシミュレータ・トレーニングファントム等を問題なく設置できます。
総合倍率2.6~18倍の手術用顕微鏡に近似した仕様で、無段階ズームにより目的に応じた適切な視野・倍率に調整可能。
単光源LED仕様の照明のため、滑沢な眼球表面への光源映り込みがリングライトに比べて少なくなっています。
水受けバットが標準付属し、ドライラボでのCCCや水晶体核分割の練習だけでなく、フェイコマシンを使用したウェットラボでの練習にも対応できます。
双眼実体顕微鏡モデルのSCP-964B/964Fのほか、カメラ付き三眼実体顕微鏡モデルのCSP-975BCは、施術者の手技がモニタ上で確認でき、情報共有や教育に最適です。
静止画・動画撮影も可能なため、教育用の資料作成にもご利用いただけます。
※本製品は医療機器ではありません。
GMS-935/945T 宝石鑑定用顕微鏡

税込¥478,500~、送料当社負担
宝石鑑定において、屈折計・ルーペと並び利用される宝石鑑定用顕微鏡です。
宝石鑑定を行ううえで必要十分な、以下のような機能を備えています。
- 宝石の脈理・双晶等の成長構造観察に使用できる明視野透過照明
- 宝石の内包物(インクルージョン)の観察に使用できる暗視野透過照明
- 従来より宝石鑑定に用いられているハロゲン光源(6V30W)
- 宝石表面の刻印や研磨痕の確認が可能な、フレキシブルアーム式オーバーヘッド照明
- オーバーヘッド照明はダイヤモンドの黄ばみを軽減する色温度6400Kの蛍光灯仕様
- 一般的に宝石鑑定に用いられる総合倍率10~45倍をカバー(オプション品使用により90倍でも観察可能)
- 情報共有に適した360°回転ベース仕様。
- 顕微鏡を最大45°傾斜可能なエルゴノミック仕様。
- 持ち運びに便利なアルミ製キャリングケース付属
さらに豊富なオプション品を用意しており、拡張性に優れています。
接眼レンズ観察のみの一般的な双眼実体顕微鏡タイプに加え、顕微鏡用カメラでの写真・動画撮影ができる三眼実体顕微鏡タイプもご用意しています。
実体顕微鏡による各倍率の視野内のイメージはこちらをご覧下さい。

実体顕微鏡とは
実体顕微鏡(Stereo Microscope)は双眼実体顕微鏡ともいい、物体を立体的に観察することを目的とした作られた光学顕微鏡です。
低倍率で広視野、作業距離は長く、像は正立像です。一般的な光学顕微鏡では像が上下左右反転する倒立像ですが、実体顕微鏡は正立像(顕微鏡に配置した観察物の向きと一致した像)で観察できます。
光不透過性の観察物を反射照明で観察することが多く、観察物を薄切してプレパラートを作製するといった加工が不要です。
上記のような特徴より、実体顕微鏡は製品や生物の外観観察や、顕微鏡下での組立作業や解剖・手術などに用いられます。
実体顕微鏡の基本構造と原理
立体視するには左右の眼に視差が必要であるため、実体顕微鏡は物体を異なる方向から見るためのふたつの光路を備えています。両眼で見るため双眼鏡筒であり、右眼・左眼それぞれに対応する光路があります。それぞれに僅かに視野角が異なる像を両眼で観察することで視差が生じ、立体像が得られます。
人間の眼は左右がおよそ60数mm程度離れた位置にあるので、右目と左目には視差があり像に差違が生じます。この像を脳内で合成し、奥行きを認識しています。実体顕微鏡は左右の光路を分けることで視差を生じさせ、立体視を実現しています。生物顕微鏡などは、双眼鏡筒であったとしても左右の眼に視差がないため立体視はできません。
実体顕微鏡の用途
実体顕微鏡の用途は、観察用途・作業用途のふたつに大別されます。
観察用途では、昆虫・水生生物や植物、岩石や鉱物、化石、石器や土器のようなものの観察、製品の外観検査・異物混入検査、溶接部の検査、宝石の鑑定などがあります。
作業用途においては、時計や補聴器のような精密機器の組み立て、電子基板への微細な部品の実装(はんだ付け)、マイクロサージェリーや解剖等に用いられます。
実体顕微鏡の観察例
実体顕微鏡の観察用途の例
- 昆虫や植物:複眼や脚の形状、羽の模様、花弁や葉の構造などをを詳しく観察し、属や種の特定などが行われます。
- 水性生物の観察: プランクトンや小型ベントスなどを観察します。生きたままシャーレに入れた状態で観察することもあります。
- 電子回路の品質検査:電子部品や配線の接合部などを観察し、隣接する部品間がショートしていないかなどを確認します。
- 宝石の鑑定:表面性状、加工後の状態、内包物などを見て、宝石の種別や品質を確認します。特殊な照明装置が併用されます。
- 金属や溶接部:表面の凹凸、傷、溶け込み不足や融合不良の有無などを観察します。
- 岩石や鉱物:結晶の観察や、物質の複屈折性を確認したりします。偏光装置や特殊な照明装置が併用されることがあります。
- 考古学分野:化石、石器、土器、古文書などの解析・確認用途に使用されます。
- 非破壊検査:探傷検査・漏洩検査、コンタミネーション検査、液体や容器内の中の物体の確認、液晶モニタ内部のカラーフィルターの検査などがあります。照明には赤外線や紫外線が用いられたり、観察像の確認に特殊なカメラが利用されることもあります。
実体顕微鏡の作業例
実体顕微鏡の作業用途の例
- 精密機器の組み立て:時計や補聴器の組み立て作業に用いられます。
- 電子部品のはんだ付け:微細な電子部品の実装(ハンダ付け)は、顕微鏡下で行われます。
- 宝飾品の作製:指輪などのアクセサリの彫金・加工・組立作業に使用されます。
- 人工授精:検卵や体外受精に使用されます。
- 歯科技工:補綴物の作製に使用されます。
- 手術:血管吻合手術、白内障手術など、顕微鏡下で行われる手術(マイクロサージャリー)で用いられます。
- 解剖:動物などの解剖で使用されます。
実体顕微鏡の種類(光学様式による分類)
グリノー式実体顕微鏡
グリノー式(Greenough、内斜型)は、約12度の角度で向かい合うふたつの独立した光軸上に、それぞれ接眼レンズと対物レンズを配置した構造を持つ実体顕微鏡です。
この構造により、両眼視での観察像に立体感が得やすいという特徴があります。
グリノー式は構造がシンプルで、筐体をコンパクトに設計できることから、クリーンベンチ内での使用や機器組み込み用途といったスペースが制限される場面で有用です。
また、構造がシンプルであることで設計・製造コストが抑えられるため、後述するガリレオ式実体顕微鏡に比較して安価です。
ガリレオ式実体顕微鏡
ガリレオ式(Galilean)は、対物レンズから接眼レンズまでの光路が平行になっている双眼実体顕微鏡です。平行光学系・CMO(Common Main Objective)とも呼ばれます。左右の光路はひとつの無限遠補正光学系の対物レンズを共用しています。対物レンズは観察面に対して垂直に向き合っています。内部には結像させるための結像レンズを有します。
光路が平行になっていることで、以下のような利点があります。
- 接眼レンズと対物レンズの間に落射蛍光ユニットや写真撮影装置(ビームスプリッター)のような装置を挿入することができ、拡張性に優れている。
- 左右の光路に差異がなく、長時間観察時にも目が疲れにくい。
- 大きなズーム比、高倍率が実現可能。
- 像の平坦性に優れる(視野内での焦点ずれが少ない)。
グリノー式の対物レンズは左右それぞれが独立していますが、ガリレオ式では一つの大きな対物レンズを用いています(CMO(Common Main Objective))。このためガリレオ式の実体顕微鏡はグリノー式に比べ像の立体感は低くなります。また顕微鏡のサイズが大型で、高額であるという面もあります。
実体顕微鏡の種類(変倍方式による分類)
固定倍率式実体顕微鏡
倍率の変更ができない実体顕微鏡です。特定の目的のために最適な倍率と作業距離に設定されています。
固定変倍式実体顕微鏡
複数の倍率を備えた実体顕微鏡です。対物筒(タレット)を回転させるタイプが一般的です。タレットを回転させると対物レンズが入れ替わり、倍率を変更することができます。一般的には倍率を変更しても作業距離は維持されます。
ズーム変倍式実体顕微鏡
一定の範囲内で任意の倍率に設定できる実体顕微鏡です。ズームダイヤルを回転させることにより倍率を変更します。ズーム変倍式も一般的には倍率を変更しても作業距離は維持されます。
実体顕微鏡の使い方
使用する実体顕微鏡が目的に合った倍率・作業距離であることが重要です。場合によっては異なる倍率の対物レンズに変える必要が生じることもあります。また併用する顕微鏡スタンド(架台)や照明装置の選定も重要になります。
眼幅や左右の視度を観察者の眼に合うように調整することはもちろん、ズーム型の実体顕微鏡ではズーム変倍時に同焦点が得られるように調整します。
実体顕微鏡は前述のとおりの観察対象物の加工をしなくても観察ができるのですが、目的によっては観察対象物を事前に加工する必要があるかもしれません。観察対象物の厚みや平坦性が顕微鏡像に大きく影響するため、薄切や研磨が必要かもしれません。
顕微鏡スタンドは、対象物のサイズや作業内容、観察方向に応じて適切なものを選定します。レイマーでは、スタンダードな顕微鏡スタンドはもちろんのこと、アームスタンド、ブームスタンド、ロングピラースタンド、水平スタンド、暗視野照明付きのスタンドなど種々取り揃えております。
観察の対象物・観察や作業の目的に適した照明を用いることで、よりよい顕微鏡像が得られます。LEDリングライト、ハレーションを抑える偏光照明やドームライト、紫外線や赤外線照明、照明の照射方向を切り替えできる分割リングライト、照明光の照射方向を自由に設定可能なスポットライト、照明光の平行性が高い同軸落射照明、透過照明、均一な拡散光が得られるリングライトなど、レイマーではさまざまなタイプの顕微鏡用照明装置を取り揃えております。
レイマーは多数の実体顕微鏡・照明機器・顕微鏡用スタンドを取り扱っています。お客様の用途に最適な機器の選定も承っておりますので、お困りの際はご遠慮なくお問い合わせください。
実体顕微鏡のよくある質問
以下、実体顕微鏡についてよくある質問へのリンクをまとめました。
※別サイト(レイマーテクニカルサポートページ)が開きます。
文献紹介
朝倉書店刊行:ライフサイエンス 顕微鏡学ハンドブック
秀潤社刊行:顕微鏡フル活用術イラストレイテッド 基礎から応用まで